杭を出したいけど杭が出ないから打たれない

昔々あるところにおじいさんとおばあさんがいました。

沢山の宇宙船に家を囲まれた翌日、おじいさんは山へしばかりに、おばあさんは川へ洗濯へ行きました。
おばあさんが川で洗濯をしていると上流の方からどんぶらこどんぶらこと、桃が流れてきました。思わず手に取ったおばあさんは、家へ持ち帰りその大きな桃をおじいさんに見せました。

桃を食べようと思いおじいさんが包丁を手に桃へ歩み寄ろうとした時、昨日から家を囲っていた宇宙船達の攻撃が始まりました。おばあさんの心臓が宇宙船の放つレーザービームによって貫かれ、おじいさんは涙を流しながら家の外に出て、宇宙船に立ち向かいました。
すると大きな桃が光に包まれ、光の中から元気な男の子が出てきました。
その男の子が最初に目にしたのは、倒れたおじいさんとおばあさんの姿でした。
若いながらも自分の力の未熟さを知っていたので、その場をなんとかやり過ごしておじいさんとおばあさんの仇討ちの為だけに生きていこうと思いました。しかし、非情な宇宙船達は、家を消し去るまで攻撃の手を止めることはありませんでした。若い芽は早い内に摘むことは大事なことなのです。